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旅行会社てるみくらぶ 破産手続きの開始決定

利用客から航空券が発券できないという苦情が相次いでいた、東京の旅行会社てるみくらぶは、資金繰りに行き詰まり営業の継続が難しくなったとして、27日に東京地方裁判所から破産手続きの開始決定を受けました。利用客がすでに支払ったツアー代金などはおよそ99億円に上りますが、わずかしか返還されないおそれが強く、影響の広がりが避けられない状況です。
インターネットを通じて海外旅行の格安ツアーを販売する、東京・渋谷区の中堅の旅行会社てるみくらぶは、広告費などの費用がかさんで資金繰りが次第に悪化し、先週23日に航空券の発券に必要な支払いができなくなりました。

その結果、先週末から利用客の間で「航空券が発券できない」といった苦情などが相次ぎ、観光庁が旅行業法に基づく立ち入り検査に入り、実態調査を進めていました。

こうした中、会社は27日、資金繰りに行き詰まり営業の継続が難しくなったとして東京地方裁判所に破産を申請し、破産手続きの開始決定を受けました。

国土交通省で記者会見した、てるみくらぶの山田千賀子社長は「お客様に多大なるご迷惑をおかけして誠に申し訳ありません」と陳謝しました。
そのうえで、現地の旅行代理店などへの支払いができていないため、今後利用客が渡航した場合、現地でホテルなどを利用できない可能性が極めて高いとして、渡航を控えるよう呼びかけました。

会社の説明によりますと、今回のトラブルで影響を受けるのは合わせて3万6000件、人数にしておよそ8万人から9万人で代金の総額は99億円余りに上るとしています。

こうした支払い済みのツアー代金などは今後、業界団体の日本旅行業協会が旅行各社から預かっている保証金の仕組みを使って返還を進めますが、今回利用できる保証金は1億2000万円にとどまるため、わずかしか返還されないおそれが強く、影響の広がりが避けられない状況です。
割安な価格での座席確保が困難に
てるみくらぶは、航空会社から売れずに余った席などを安く仕入れて、格安の海外ツアーを企画し、インターネットを通じて広く販売することで成長してきました。
しかし、各航空会社が経営の効率化を図るため機体の小型化を進めるにつれ、座席が余らないようになり、割安な価格での確保が難しくなっていきました。
また、おととしからシニアの旅行客を獲得しようと新聞広告を強化した結果、経費がかさむようになり業績が次第に悪化したということです。

その結果、資金繰りが厳しくなり、先週の23日に航空券の仕入れを取りまとめる航空会社の業界団体、IATA=国際航空運送協会に航空券の発券に必要なおよそ4億円の支払いができませんでした。

そして、営業の継続が難しくなったとして、27日に破産手続きの申請に至りました。

会社によりますと、負債の総額はツアー代金を支払った利用客や、取引先や金融機関など合わせておよそ151億円に上るということです。
代金の返還額 1%程度にとどまるおそれ
観光庁によりますと、てるみくらぶのツアーの利用客で海外に滞在している人の数は、26日時点でハワイや韓国、台湾やイタリアなど38の国と地域でおよそ2500人に上るということです。

現在、旅行中の利用客が持っている発券済みの航空券はそのまま利用できるということです。ただ、ホテルについては、現地のホテルで改めて支払いを求められる場合や、予約が入っていなくて宿泊を断られるおそれがあるとしています。

一方、今回のように旅行会社が経営破綻した場合は、業界団体の日本旅行業協会が、利用者の支払い済みの代金を保証金で返還する仕組みがあり、こうした事案は平成20年度以降に17件発生しています。
このうち15件は代金が全額返還され、残る2件は返還された割合が70%と、40%にとどまったということです。

今回のケースでは、影響を受けるのが3万6000件、人数にしておよそ8万人から9万人で、金額は99億円余りに上る見通しです。
実際に返還される金額は、これから、てるみくらぶ日本旅行業協会が協議しますが、今回、返還に充てることができる保証金は1億2000万円しかないため、返還される額の割合は、平均で1%程度にとどまるおそれがあります。

会社では利用客などからの問い合わせを、電話番号03-3499-7555で、平日午前10時から午後5時まで受け付けています。
「とんでもない会社に申し込んでしまった」
東京・渋谷区の「てるみくらぶ」の本社の事務所の入り口には、27日午前中、破産手続きに入ったことを伝える紙が貼り出されていました。会社には従業員の出入りは確認できませんが、ツアーの利用客が事情を聞きに訪れていました。

このうち東京の77歳の自営業の男性は、結婚50年目に合わせて5月25日から1週間の予定で夫婦でオーストリアを訪れる予定だったといいます。
男性は、「妻が以前に利用し安くてよかったということだったので今回ツアーを申し込んだ。今月21日になって『会社からすぐに入金しないと予約をキャンセルするおそれがある』と言われその日に会社を訪れ24万円余りを支払った」と話していました。
そのうえで「会社の事務所は目隠しがされていて、ドアを叩いても反応がない。破産手続きに入ったということなのでお金は戻ってこないのではないか。何の説明もないし、とんでもない会社に申し込んでしまった」と困惑した様子で話していました。

一方、名古屋市中区のビルに入る、てるみくらぶの名古屋支店では明かりも消え、入り口の前には先週末からの新聞が置かれたままとなっていました。

ツアーの利用客が事情を聞きに訪れ、このうち名古屋市内の70代の男性は今月上旬に名古屋支店で、ヨーロッパのピレネー山脈を6月に夫婦でツアーする予約をしたということです。男性によりますと、事前に一部の代金を払うように催促され、40万円の代金のうち10万円を振り込んだということです。その後、会社から連絡はないということです。

男性は「会社がこういう状態なのでツアーは諦めますが、大切な年金から払ったお金ですので、ちゃんと戻ってくるのか心配です」と話していました。
旅行客 旅行会社選びは難しい
東京の旅行会社「てるみくらぶ」が、裁判所から破産手続きの開始決定を受けたことについて、成田空港を利用する旅行客からは、旅行会社を選ぶのは難しいなどという声が聞かれました。

このうち友人と韓国を旅行するという埼玉県の20代の女性は「楽しみにしていたのに、突然、旅行ができないと知らされた人たちは本当にショックだと思います。『安さ』は大きな魅力ですが、それだけにとらわれないようにしたい」と話していました。

また、留学先のアメリカに向かうという女子学生は「インターネットに情報はたくさんありますが、この会社がいいとか悪いとか区別するのは難しいと感じます。直接店頭に行ったり人に聞いたりして調べるしかないです」と話していました。